廃校となった教室をカメラオブスキュラにして撮った写真は宇宙を漂流しているようだった。
福岡県新進気鋭の芸術家育成事業「旧上庄小レジデンスプログラム」
2024年9月から福岡県みやま市に滞在し廃校となった旧上庄小学校にて現在も制作中
12.8 - 12.22 "成果展" 九州芸文館
12.17 - 12.27 "成果展" 福岡県立美術館
Fukuoka Prefecture Emerging Artist Development Project
"Kyu-Kaminosho Elementary School Residency Program"
Currently staying in Miyama City, Fukuoka, and creating works since September 2024.
Exhibition Dates:
December 8 - December 22: Kyushu Geibunkan
December 17 - December 27: Fukuoka Prefectural Museum of Art
滞在記録
ワークショップ「空中茶会」
日時:11月17日(日) 11時、13時、15時(それぞれ30分程)
9月
5日 滞在開始
7日 みやま市図書館にてみやま市周辺の歴史、民話の関連図書研究開始
コミュニティーバスにて山川・高田・船小屋方面をリサーチ、撮影
8日 廃校を訪れた小学生と共同制作
11日 成果展会場の福岡県立美術館の下見
12日 レジデンススタジオを暗室にしてピンホールルーム作品を制作開始
13日 福岡県立山門高校へ挨拶に訪問
ピンホールルーム完成・九州芸文館下見
14日 《みやま市の箱》撮影完了
15日 「第22回 アーティストインレジデンスの成果展 空と地のはざまで」
(Artist Cafe Fukuoka/福岡市)見学
19-22日 リソグラフ印刷のため千葉に滞在
19日 卯月梨沙写真展「幽明」(スタジオ35分/東京)見学・作家交流
20-21日 《みやま市の箱》即興リソグラフ制作 (NOT GUTTER/東京)
21日 グループ展「Monster Exhibition 2024」(渋谷ヒカリエ8/ COURT/東京)見学
22日 ayakaendo, Taisuke Nakano「SPIRAL DANCE」(LIBRIS KOBACO/福岡市)見学
ソー・ソウエン「いま、わたしが吸った空気は、かつてあなたが吐いた空気。」
((伝)潮見櫓/下之橋御門/福岡市)見学
29日 オープンスタジオ・トーク開催(旧上庄小/みやま市)
10月
4日 映画「やわらかい犬」上映会 (余韻/久留米市)見学
5日 福岡県立山門高校文化祭視察八女市(うなぎの寝所、岩戸山古墳など)リサーチ
6日 玩具祭(筒井時正玩具花火製造所/みやま市)リサーチ
11日 古賀茶業株式会社(みやま市)にワークショップ“空中茶会”への協力依頼
12日 嶌村吉祥丸 写真展「what is good?」(本屋青旗/福岡市)見学
15日 「空中茶会」企画決定、チラシデザイン、広報開始
15日-20日 グループ展“2B&H展”出展 (ギャラリールデコ/東京)
17日 写真集《グッバイジャー No. 1 ~ 3 》完成
18日 「BUG Art Award ファイナリスト展」(BUG/東京)見学
19日 Naho Sakamoto展「紅-benu」(工房親/東京)見学・作家交流
20日 建物公開「あかり、ともるとき」、茶室「光華」(東京都庭園美術館/東京)見学
21日 アレック・ソス「部屋についての部屋」(東京都写真美術館/東京)見学
26日 うなぎの寝所、余韻に制作協力の依頼
華道家に茶花のリサーチ、YOHEYに「空中茶会」の楽曲を依頼
手塚夏子ワークショップ+パフォーマンス
ワークショップ「人と人の間から歌と踊りが湧き出るワークショップ」
パフォーマンス「私的解剖実験-3リクエストバージョン」
27日 佐賀市のアートスペース「ツー・バウンス」「シルクロ」「Gallery NOMA」見学
28日 正覚寺(瀬高町上庄)での朝活参加
29日 アーツトンネルのメンバーが来訪
30日 みやま市図書館にて茶会の関連図書研究開始
11月
1日 山門高校WS 写真部生徒の写真プレゼンに対して講評・写真集を読む
pecheに「空中茶会」のお菓子を依頼
3日 茶の湯文化のリサーチのため「福岡市民大茶会」(大濠公園、護国神社/福岡市)を訪れ、
裏千家、表千家不白流の茶会に参加
牛島智子 「ホクソ笑む 葉緑素」(九州産業大学美術館/福岡市)見学
前川光平写真展 「家はガムテープで直せる」(LIBRIS KOBACO/福岡市)見学・作家交流
KYOKO TSUDA「GARDEN STACKING FORMS」(本屋青旗/福岡市)見学・作家交流
4日 キム・ジョンア「ポートフォリオレビュー」参加 (ギャラリー冬青/オンライン)
8日 山門高校WS ピンホールルームにて撮影
9日 アジサカコウジ 「花と怒りⅡ 『忘れられた花々』」(EUREKA/福岡市)見学・作家交流
長島有里枝「『SWISS』朗読会」(LIBRIS KOBACO/福岡市)見学
12日 「ピンホール美容室」制作 協力:余韻(ノダさん)、母里さん
17日 空中茶会
22日 松田和幸に写真集《グッバイボイジャー》のテキストを依頼
瀬高小学校の生徒が制作スタジオを見学
12月
8日 成果展「バッテン」(筑後会場)開始
18日 成果展「バッテン」(福岡市会場)開始
27日 レジデンス期間終了予定
27日 レジデンス期間終了予定
ワークショップ「空中茶会」
日時:11月17日(日) 11時、13時、15時(それぞれ30分程)
参加人数:各回8人程度
場所:旧上庄小2階教室
概要:ピンホールカメラの構造を設えた教室スタジオの中に、作家がスクリーンとして使用していたパネルと学校に残された備品を組み合わせて空間を作り茶会を開催しました。提供された菓子と空間に流れていた楽曲も今回のために大久保が制作を依頼したもので、お茶はみやま市の古賀茶業に協力いただき玉露をふるまいました。教室に浮かび上がる反転した外側の風景を眺めながら、細部にも大久保の意図を感じさせる茶室のなかで、作品世界の中に十分に浸ることができるワークショップとなりました。
⑴廃校となった上庄小小学校の6年1組の教室を暗幕で覆い真っ暗な暗室にする。
⑵窓に3センチほどの小さな穴(ピンホール)を開ける。
⑶ロール紙に像を写してカメラで撮影する。
→ピンホールを通った像は天地と左右が反対になっていた。
→像は止まらずに動いていた。
→ロール紙を増やしていくと面白いような気がしたけどこの方向は保留。
⑷自分の身体に写す
→誰もいなくなった校舎に誰かがいて、その存在が像を表出させることが大事な気がする
→白タイツにすることで像をはっきりさせる?
→いや、身体の形が気になってしまう
→衣装と身体をもっと上手く使う人(舞踊家・ダンサー)で試してみる?
⑸縦2.5m横1mのスクリーンを持って動かしながら撮ってみる
→存在の動きも撮りたいと思った
→スクリーンを壁としてではなく茶室っぽい空間に見立ててみる
→WSは茶会(近くのお茶屋さんも一緒に)を開いてみる?
⑹風船を膨らませてそこに像を写す
→息がまるく形になったもの、そこに映すこと
⑺教室の前に残っていた理科の教材の凸レンズをピンホールにかざしてイメージを動かす
→道ゆく車が流れ星みたいだなと思った
→いっそ星は撮れないかと夜の撮影を試みたが写ったのは隣のコンビニと車の光だった
⑻6年1組の教室という場所に写す。
→この場所にいることを見直す
⑼旗を掲げる
→何を撮っているのかを考えた時、旗ポールに何もついていないことに気づいた
→学校を捜索すると校旗はなかったが国旗は見つかったのでそれを掲げて撮ってみる
→日本という意味が邪魔に感じた
→旗を作ってみる?
⑽ものを撮ってみる
→空の上での茶会を思いついた時にみかんが空にあってもいいかもと思った
→背景とのバランスは再考する
11.本を作る「グッバイボイジャー」
この教室で私は何を撮っていたのでしょうか。ひっくり返った校舎。いくつものまるい光。見返してみると、まるで教室から宇宙へ漂流しているようでした。廃校には宇宙へ行くために必要な、暗闇と静けさがあって、そこに人の想像力が燃料となって地球を離れてしまいました。
廃校を訪れた人が、教室で漂流して宇宙に行く。太陽系を超えて今も宇宙の果てを進む無人惑星探査機のボイジャーに無邪気に挨拶するように漂ってみる。でも一度その暗闇と静けさに気がつくと、呼吸がうまくできなくなる。すって、はいて、を頭の中で数えると苦しくなっていく。言葉を無くしてみると、次第に呼吸が整っていく。そうやって漂流から帰ってきてボイジャーに別れを伝える。
12.ワークショップ「空中茶会」
会記
於 旧上庄小学校2階教室スタジオ
主 大久保卯月
床 廃中の宇宙 大久保卯月
灯 Nationalデスクライト
花 校庭の野花
花入 教材室の空き瓶、理科室のガラス器具
釜 ピーコック魔法瓶
水指 職員給湯室のガラス
装い HAORI うなぎの寝所
香り 樟脳オイル 内野樟脳
香合 電子窯焼きの陶器 津田恭子
音楽 銀河2/ ワンダフルチャイム YOHEY
御茶 八女玉露 古賀茶業株式会社
菓子 季節のパウンドケーキ peche
13.太陽を撮る
ピンホールルームに映る太陽と、それを反射するホコリから宇宙を見る。
14.野花を生ける
茶会に向けて野花を生ける。
15.学校に残されたものを撮る
教材室、理科室、図書室、保健室など廃校となった小学校に残された物をピンホールルームで撮る。
16. 光で描く
光を乱反射するフィルムを動かしながら
17. 福岡県立山門高校の写真部WS
1日目:生徒が撮ってきた写真をプレゼン→講評→
写真家の写真集を読む(アレックソス・志賀理恵子など)→最新作グッバイジャーを読む
いい写真はなんだろう?物語がある写真とは?を一緒に考える
2日目:ピンホールルームで撮影
18.ピンホール美容室 with余韻
19.グッバイボイジャー
写真集を作る。